士業は各々バッジを付与されます。

士業の頂点弁護士は正義と平和の象徴であるひまわりを模した金色のバッジ。
行政書士とよく間違われることでお馴染み司法書士は国家の繁栄を込めた桐の花デザイン。
そして我らが行政書士は篆書体(てんしょたい)で「行」と書かれたコスモスのバッジです。

本日はそんな行政書士バッジにまつわるお話。

行政書士バッジを付けてない人意外に多い??

行政書士バッジは「徽章」と呼ばれ、試験に合格しただけではもらえません。
行政書士登録することで初めてもらえるありがたい代物であり、私も登録証交付式の際に初めてバッジをもらいました(もらえると言っても有償ですが)。

初めてバッジを目にした時はもうね、かっこいい、イカす、これで俺も上流階級の人間に二階級特進したんだと、それはもう目も当てられない浮かれっぷりでしたねはい。

己に自信がないからファッションをブランド物で固める凡百の如く、私もスーツを着る機会があればこれ見よがしに行政書士バッジを付けてました(結婚式で行政書士バッジを付けていったものの、誰もバッジに触れないから、「ほらかっこいいでしょ行政書士バッジ!」と自分で説明する見苦しい展開になった思い出)

そんな見苦しい私が初めて支部の集まりに参加した時ですよ。

「え?バッジ付けてない人まあまあいるくない!??」

驚愕ですよ。権威に縋りつきたい私からすれば、行政書士バッジは行政書士の権威を誇示する絶好のアイテムだと思っていたのですが、どうやらそんな矮小な人間は私だけだったみたいで、諸先輩方はバッジを付けてない人がちらほら。

意外や意外。
行政書士に限らず先生と呼ばれる職業の人間なんて、「俺とお前じゃ人間としての格が違う。ひれ伏せ」と鼻高々になってる勘違い野郎が跳梁跋扈してるのかと思ってましたが、権威を誇示するバッジを付けてる人は少数で、皆謙虚で人格者ばかり。

「か、勘違い野郎は俺だけかよ・・・」

そんな反省を胸にその日の会合を後にした矢野でした。

行政書士バッジを付けて業務をしないと違反?

X(旧ツイッター)で行政書士の諸先輩方を拝見していると、「数年ぶりにバッジ付けたわ」という投稿や、「普段自分はバッジ付けてません」という声もあったりで、個人的な所感としてバッジ付けてない人結構いるイメージ。

そんな方々にケチをつけるわけじゃないのですが、私の記憶では行政書士の業務をする際はバッジの着用が義務付けられてた気がします。

そこで行政書士関係の条文を見直してみるとやはりありました。

(行政書士徽章の着用等)
第 22 条 行政書士は、職務を行うときは、行政書士徽章(以下「徽章」という。)を常に着用し
なければならない。
2 行政書士は、徽章を他人に譲渡又は貸与をしてはならない。行政書士でなくなった後も、また
同様とする。
行政書士職務基本規則

行政書士職務基本規則に「行政書士は、職務を行うときは、行政書士徽章(以下「徽章」という。)を常に着用しなければならない。」と明確に記載があります。

私のように結婚式にまでこれみよがしにバッジをつける必要はありませんが、少なくとも行政書士業務を行う時はバッジの着用が義務付けられています。

したがって行政書士業務を行うのにバッジを着用していないと違反ということになります。

「おめーは知らねえようだが教えておいてやると、行政書士職務基本規則は法律じゃないから、違反したとしても何のお咎めもない。重箱の隅をつつくこまっしゃくれた真似はやめな小童が」とクチもタチも悪い行政書士に反論されそうですが、行政書士法を確認してみると、行政書士法13条には以下規定があります。

(会則の遵守義務)
第十三条 行政書士は、その所属する行政書士会及び日本行政書士会連合会の会則を守らなければならない。
行政書士法

日本行政書士会連合会が定めた会則を遵守しないと行政書士法第13条に違反することになります。

よって、行政書士が業務を行うときはバッジを付けるのは法的な義務。
(業務をするときなので、支部の集まりなどに参加するときは別に着用の義務なし)

調べた限りでは以上の結論でした。

ただ13条には罰則規定がないため、実質的にはバッジを付けずに業務をしたからといって何らかの処分が下る可能性は低く、せいぜい注意程度で終わるのかなという気がしますけど。。。

おわりに

人の粗を探すことに生きがいを感じるタイプの人間がXには大量培養されているので、無難に業務中はバッジを着用しておくのがベスト。

でないと、「あっれ〜せんせー『古物営業の許可で警察署に行ってきましたー♪』と写真付きで己のご尊顔をお晒しになってらっしゃいますが、拝見するにジャケットにバッジが見当たりませんね〜。あれあれもしかしてナチュラルに行政書士法第13条違反しちゃってる感じですか〜?」と煽られ謗られ炎上の標的にされるのがオチです。

なのでお気をつけを。

私としてはバッジを誇示する大義名分ができたもんだからよかったよかった。
これからも冠婚葬祭でばっちりバッジを付けて行政書士アッピールをしていきます(やめなさい)。