契約書を読んでいると、「権限」と「権原」の2つの文言が出てくることに気が付くかもしれません。
この二つ、どちらも読み方は「けんげん」ですが、意味は違います。
その違いを解説します。
権限とは
権限とはある事柄についての権利を指します。
わかりやすくいえば、あなたが所有しているニンテンドースイッチは、あなたの所有物なので、あなただけが使う権限があります。これが権限。
民法の例で具体的に説明すると、例えば代理権。
例示すると、車を買おうとしているAさんがいて、Aさんが、「私の代理で車を買う契約をしてくれ」とBさんに代理権を与えると、BさんはAさんに代わって車を買う権限を有することになります。
そしてBさんがAさんの代理で車を買うと、その代理効果は本人であるAさんに帰属します。
これが代理権であり、そして権限の一種。
権原とは
権原とは、ある行為をすることを正当化する法律上の原因です。
わかりやすくいえば、ニンテンドースイッチを使用する権限は所有権(という権原)に基づいている根拠ということです。これが権原。
権限が「できる」ということなら、権原は「できる根拠」ということになります。
権限同様、権原も民法で説明すると、例えば賃貸借。
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対して賃料を支払いその物を使用収益する契約です(民法601条)。
賃貸借の多くは不動産の貸し借り。
例えばあなたがAさん所有のアパートを賃貸借契約により借りた場合、あなたはそのアパートを自由に利用することができます。
通常他人の物(この場合Aさんのアパート)は、その人本人しか使用収益することができないはずでが、賃貸借契約をすることによって、あなたはAさんのアパートを利用することができるのです。
なぜならあなたは賃借人という権原を有しているから。
ちなみに権限と読み間違えないように、権原をけんばらと読むこともあります。
おわりに
タイプミスで権限と権原を打ち間違えないようにしましょう。
本記事で解説したとおり、2つの意味は違います。
契約書の内容について相手方と交渉するときは、権原を「けんばら」と言い換えて説明した方が齟齬が生じないので、口頭説明の際は言い換えを活用してみてください。