契約書がなく、LINEやSNSのやり取りのみで契約が進んでしまった場合、果たしてその契約は有効に成立するのか。
そして、LINEやSNSのやり取りは契約の証拠になり得るのか。
本記事ではそんな契約にまつわる疑問にお答えします。
LINEのやり取りは契約の証拠になるのか?
結論から言えば、LINEでも契約の証拠になります。
そもそも契約という行為は、当事者の合意事項を定めるものであり、口頭でも契約は成立します。
具体的には、契約は「申込」と「承諾」により成立します。
例えばコンビニでおにぎりを買う場合。
客はおにぎりをレジに持って行きおにぎりを買いたいという「申込」をし、店員が「承諾」をし金額を伝え、無事代金が支払われれば、売買契約が成立したことになります。
これらは全て口頭のみですが、れっきとした契約行為。
法律上、契約の形式は特に定められておらず、何を使って契約したかはどうでもよく、あくまでやり取りの内容が大事なのです。
したがって、契約行為は必ずしも契約書を巻かなければいけないというわけではありません。
LINEでもしっかりと「申込」と「承諾」のやり取りがあれば、それは契約の証拠になり得るのです。
LINEのやり取りを契約の証拠にするために必要なこと
ただ、LINEのやり取りを契約の証拠にするためには一定の条件が伴います。
結論、LINEのやり取りを契約の証拠にするためには、「申込」と「承諾」の意思が確認できるやり取りになっているかが大事です。
LINEのスクショを契約の証拠にするなら、最低限次の事項が確認できるのが望ましいでしょう。
・相手方の氏名など相手方を特定できる事項(相手が特定できないと誰と契約したか客観的な証明が難しいため)
・契約の日時・時間
・申込と承諾の意思が確認できるやり取り
・代金が発生する場合その金額
が最低限必要な記載事項になるでしょう。
契約内容と誰と契約したかが特定できないと、それは客観的な契約の証拠にならないからです。
LINEを例に説明しましたが、SNSでも同様。
インスタでも、X(旧Twitter)でも、契約内容が特定できるやり取りが確認できれば、それは契約の証拠になり得ますし、法的効力が認められます。
LINEスタンプのやり取りは有効?
契約は「申込」と「承諾」によって成立すると書きましたが、では承諾の意思をLINEスタンプで送った場合、それは承諾の意思として認められるのでしょうか。
明確な裁判例がないのでなんとも言えませんが、普通に考えてLINEスタンプでの意思表示が法的に有効にならない可能性が高いと思います。
なぜならLINEスタンプはあくまで図形や画像の類であり、文字ではないため、LINEスタンプが明確な意思表示の根拠と言えるかは不明瞭だからです。
合意事項はスタンプではなく、しっかり文章で残しておくのが望ましいでしょう。
おわりに
私はレンタルスペースの清掃業務を受託していたことがありました。
一応契約書という形で「業務委託契約書」を締結していたのですが、業務委託契約書に記載がない突発的に発生する業務等については、LINEでやり取りし受託していました。
このように、紙の契約書とLINEを併用するの業務効率の観点からアリかもしれませんね。