あなたが自動車のメーカーの社長だとします。
自社の車を販売するためには、店舗を立ち上げてそこで車を販売しなければいけません。
しかし車を作る技術はあっても、店舗ビジネスのノウハウはなし、さらには店舗を立ち上げる資金まではない・・・

そこで役立つのが、「販売店契約」「販売代理店契約の2つです。

要は、他の会社に自社の車を販売してもらうのです。
そうすることで、自社のリソースを使わずに効率的に商品を販売・流通させることが可能になります。

本記事ではこの販売店契約と代理店契約の違い、そしてどっちの契約形態がいいのか?、というお話をしていきます。

販売店契約と代理店契約の違い

冒頭の例でいうと、販売店契約も代理店契約も、どちらも自動車メーカーの車を販売する点では共通です。
しかし契約形態がかなり違います。

販売店契約とは

販売店契約とは、販売店がメーカーの商品を仕入れ、販売店が自らの責任で顧客に販売することを目的とした契約です。

販売店はメーカーから商品を仕入れるわけですから在庫リスクを背負うわけですが、価格決定権は販売店側にあるので、その分厚い利益を獲得できるメリットがあります。

つまり販売店側としては、自社で商品開発する能力はないけど、商品を売る場所、そして売るノウハウを持っている場合は、販売店契約はビジネス拡大の大きなチャンスになり得るということ。

メーカー側も商品を開発する能力はあっても、売るノウハウを持っていない場合、こうした販売店の力を借りることで、ビジネス拡大、そして自社ブランドを広げることができるようになります。

代理店契約とは

代理店契約は、メーカーが他の企業に自社の商品やサービスの販売を委託する契約です。代理店は、委託者の代理として販売活動を行い、その成果に応じて手数料を受け取ります。

販売店契約は、販売店側がメーカーの商品を買い取るため、在庫リスクを背負わなければなりませんが、代理店契約の場合、代理店はあくまでメーカーの代理で商品を販売するという形となります。

販売店契約と代理店契約どっちがいいの?

販売店契約はキャッシュフローが安定するけど・・・

メーカー側は、販売店契約は、販売店と契約が成立した段階で商品を買い取ってもらえるわけですから、その時点で売上が確定することになります。

契約で最低購入数量義務を定めておけば、まとまった量を供給し、まとまった売上が期待できるため、売上予測も立てやすいです。

なので、販売店契約はキャッシュフロー的にかなりメリットがあります。

他方、価格決定権は販売店側にあるので、安売りされてブランドイメージの悪化につながるというリスクあり。

本来は高級志向で売りたい商品だったのに、販売店の都合でディスカウント販売されてしまっては、ブランド価値に多大なるダメージを負うことでしょう。

法的リスクでいうと、メーカーの地位が販売店に対して優越していることを利用して、半ば無理やり最低購入数量を定めた場合、正常な商習慣に照らして不当な不利益を販売店に与えているとすれば、優越的地位の濫用に該当し、独占禁止法に抵触する可能性があります。

なので、販売店契約だからといって、無茶な最低購入数量は定めないこと。しっかり販売店側と協議して契約締結した方がいいでしょう。

代理店契約は低リスク

代理店契約は商品を買い取ってもらうわけではないので、メーカーとしては即座に売上が立つわけではありません。

ですが、価格決定権はメーカーが握っているので、安売りされてブランドイメージが毀損するというリスクを避けることができます。

代理店はあくまでメーカーの商品を代理で販売する委託業者なので、販売価格、販売方法などを指示できるのは、メーカーの経営上都合がいいでしょう(もっとも販売方法の指示に関しては場合によっては独占禁止法に抵触する可能性がありますが)

以上を踏まえると、代理点契約のメリットはブランドイメージを守りつつ、低リスクで販路を拡大できることです。

キャッシュフローかブランドイメージか

キャッシュフローを優先したいなら販売店契約。
価格決定権を主導しブランドイメージを守りたいなら代理点契約。

結局どちらを選択するかは経営判断ということになります。

なお、販売店契約や代理点契約は、知らないうちに独占禁止法に該当する契約を設けてしまっている場合があるので注意が必要です。

例えば販売店契約で営業地域を制限する場合、内容によっては独占禁止法の不公正な取引内容に抵触する可能性があります(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第19条)

または、同じく販売店契約において、販売店に自社と競合する競合品の取り扱いを制限する条項を設けた場合、内容によっては独占禁止法が定める排他条件付取引等の関係で問題になる可能性があります。

メーカーはできるだけ自社に有利なように、最低購入数量義務を設けたり、競合商品を売らないよう求めたりしがちなのですが、これらは相応の法的リスクを孕むためご注意ください。

当行政書士事務所では、安心安全な契約書を作成いたしますので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。