契約書を取り交わさず、メールのやり取りだけで契約締結。
紙の契約書を交わしてないけど、メールだけで契約の証拠になり得るのか。
メールのやり取りに法的効力はあるか。
本記事ではそんな疑問にお答えします。
契約書がなくても契約は成立するの?
結論から言えば、メールのやり取りだけでも内容次第では契約の要件を満たし契約は成立します。
さらに言えば、口頭のやり取りでも契約は成立します。
例えばあなたがマクドナルドでビッグマックセットを購入したとしましょう。
これは法律上売買契約が成立したことになります。
売買契約だからといって、いちいち「ビッグマックセット売買契約」という内容をしたためた契約書を店員に渡し、店員が契約書の内容を確認し署名捺印してから、代金の授受があり、そしてようやく商品を引き渡す、などというコントみたいなことはする必要はなし。
なぜなら、契約は「申込」と「承諾」によって成立するとされているため(民法522条)、紙の契約書を取り交わすことが法律上必要とされていないからです(一部の特殊な契約は除く)。
つまり、ビッグマックを買いたいという申込、と店員の承諾、があれば紙を交わすまでもなく口頭のみで契約は成立するのです。
その前提を踏まえると、メールのやり取りだけでも、一方の「申込」と一方の「承諾」がメールの文面から確認できれば、契約は成立したと言えます。
メールのやり取りだけで契約の証拠にするために
前述したとおり、メールのやり取りがあれば問答無用で契約成立というわけではなく、きちんとメールの文面から契約内容が判断でき、両者の申込と承諾の意思が確認できることが条件です。
例えば「あの件よろしくお願いしますね。」「はいわかりました」というやり取りの場合、「あの件」が何を指しているのかが第三者にはわかりません。
指示代名詞を多用すると曖昧さから、契約の成立が客観的に認められない可能性があるので、なるべく内容は明確にした方がいいでしょう。
そこで契約の証拠になり得るようなメールのサンプル例を見ていきましょう。
【サンプル例】メールで契約の証拠
契約の証拠になり得るようなメールのやり取りサンプル例は以下。
【申込者】
件名:【契約締結のご確認】〇〇システム開発業務委託契約について
株式会社△△
□□様いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の△△です。先日お打ち合わせさせていただきました、〇〇システム開発業務委託契約の件、
以下の内容で正式に契約を締結させていただきたく、ご連絡いたしました。業務内容:〇〇システム開発
契約期間:2024年4月1日から2024年9月30日まで
契約金額:1,000,000円(税別)
支払い条件:月末締め、翌月末払い
検収条件:システム仕様書に基づき、動作確認が完了した時点で検収完了とする。
上記内容にてご同意いただけるようでしたら、同意の旨を本メールにご返信ください。
ご返信をもって、正式な契約締結とさせていただきます。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
よろしくお願いいたします。
株式会社〇〇
△△ △△
電話番号:〇〇
メールアドレス:〇〇
【承諾者】
件名:Re:【契約締結のご確認】〇〇システム開発業務委託契約について
株式会社〇〇
△△様ご連絡ありがとうございます。
株式会社△△の□□です。以下契約内容、承知いたしました。
【契約内容】
業務内容:〇〇システム開発
契約期間:2024年4月1日から2024年9月30日まで
契約金額:1,000,000円(税別)
支払い条件:月末締め、翌月末払い
検収条件:システム仕様書に基づき、動作確認が完了した時点で検収完了とする。ご提示いただきました内容にて、契約締結させていただきます。
よろしくお願いいたします。
株式会社△△
□□ □□
電話番号:〇〇
メールアドレス:〇〇
上記メールやり取りは、「具体的な契約内容」、「金額」、「日時」、「お互いの会社名」そして両者の「申込」と「承諾」の意思が明確になされているため、ここまで具体的に書いてあれば、紙の契約書を取り交わさずとも契約の証拠になり得るでしょう。
なので、メールを契約の証拠にしたければ、なるべく曖昧な表現を避け、徹底して具体的に書くこと。
第三者が契約内容を容易に類推できること。
以上の点を踏まえると、メールでも契約の法的証拠になり得ます。
それでも紙の契約書は交わした方がいい
先ほども書いた通り、法律上は口頭だけでも契約は成立します。
ではなぜ世の中の重要な契約は全て「契約書」という形で紙で交わされるのか。
これは実は民間事業者の知恵なのです。
というのも、全ての契約が口頭で締結しようとすると、言った言わないのトラブルに発展します。
事業者は何千万、何億といった大きい金額が動く取引もするわけで、そうした取引を全て口頭だけで契約締結するのはあまりにリスクがでかい。
そこで民間事業者が知恵を絞り、紙に契約の証拠を残すようになったのです。
契約内容を紙に記載しておけば、言った言わないのトラブルは起こり得ません。
そうした民間事業者の知恵が現代の契約書の形を生み出したわけです。
もちろんメールでも十分契約の役割を果たしますが、やはりベストはしっかり紙の契約書を巻くこと(あるいは電子契約)。
無用なトラブルを避けるためにも契約書という形で取引を明確化しておくのが望ましいでしょう。
おわりに
当行政書士事務所は契約書の作成や契約書にまつわるご相談を受け付けておりますので、契約書関係でお悩みの方はお気軽にご相談ください。
なお、LINEのやり取りが契約の証拠になるかは以下記事で解説したので、気になる方はこちらも合わせてご覧ください。