お金の貸し借りをする時に巻く契約書が借用書(正確には金銭消費貸借契約書)。
私自身も個人的に過去2回人にお金を貸したことがあり、その際借用書を作成しました。

そんな借用書ですが、借用書は公正証書で作成するメリットがとてもありますので、本日はその点について解説します。

公正証書とは?

公正証書とは、国民の私的な法律行為や事実について公証人がその内容を証明し作成する公文書です。私文書とは異なり、公証人が関与することで、その内容の真正性や法的安定性が高まります。

契約書を公正証書にすることで、極めて高い証拠能力が担保され、契約の相手方から、「そんな契約していない」という契約自体を否定されるリスクがなくなるため、重要な契約は公正証書でするのがビジネスの習わしにもなりつつあります。

借用書を公正証書で作成するメリット

借用書はお金の貸し借りを規定する契約書。
なので借用書の大事な点は、貸したお金をしっかり返してもらうこと。
借用書のそうした性質を鑑みると、借用書を公正証書で作成することには以下のメリットがあります。

・契約の存在自体を否定されるリスクがない
・裁判なしで即座に強制執行が可能

一つずつ解説していきましょう。

契約の存在自体を否定されるリスクがない

繰り返しになりますが、公正証書は公証人という公的な立場の人間が契約の存在を担保してくれるので、契約相手が「そんな契約知らない。俺はお金なんて借りてない」と言ったところで、公証役場で契約の原本がしっかり保管されているので、相手が契約の存在を否定することは無意味です。

特にお金の貸し借りは揉めやすいため、公正証書のこうした強力な証拠能力は心強い保険になるでしょう。

裁判なしで即座に強制執行が可能

借用書で定めたのに契約相手が貸したお金を返済しない場合、裁判を起こしてお金を返してもらうしかなくなります。
裁判となれば時間もお金もかかる上に、相手と争わなければいけないのでメンタルも消耗します。
一応、額面が60万以下であれば少額訴訟という形で、通常の裁判より簡易な手続きで決着がつけられますが、それでも手間です。

ところが、公正証書は一定の条件のもと、裁判なしで強制執行が可能となります。条件は以下の2つ。

1. 公正証書に記載された内容が、金銭の支払い等を目的とするものであること
2. 公正証書に債務者が強制執行に服する旨の内容が記載されていること(これを執行認諾文言といいます)

公正証書で作成した借用書においては、債務者が強制執行に服する旨の内容を記載していれば、裁判を要することなく強制執行が可能となるため、かなりスムーズに債権の回収が図れます。

執行認諾文言の例は以下。

第●条(強制執行認諾)
甲は、第〇条の債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。

公正証書で借用書を作成する場合必ず上記の条項を入れてください。
でないと、公正証書で借用書を作成する意味がなくなります。

公正証書は強力な武器

公正証書は公証人という公的な立場の第三者が契約に介入するので、強力な証拠能力を有します。
本記事では借用書を例に出して説明しましたが、借用書のみならず、遺言書、高額な売買契約、事業譲渡契約、離婚に関する契約、など重要な契約であればあるほど公正証書は適しているでしょう。

高い証拠能力を有する公正証書は、裁判でも重要な証拠になり得るため、いざという時のための強力な武器かつ保険になります。

契約書作成を専門とする行政書士としては、公正証書は積極的に使っていただきたい制度だと強く感じる次第です。