契約書作成時にミスが発覚した場合どのように訂正するのか。
契約書作成専門の行政書士が解説します。
契約書の訂正方法について
令和現在の契約書は、ほぼパソコンのワープロソフトを使って作成するので、訂正が比較的楽にできます。
誤字脱字等があれば、その部分をマウスで削除すればいいだけですからね。
しかし、契約書が完成し署名捺印後に誤字脱字が発生した場合は、手書きでの訂正対応が求められます。
なので、手書きでの訂正方法を知っておかないと、契約実務上困ることになるでしょう。
というわけで手書きでの訂正方法を画像を交えて解説します。
契約書の訂正
ある条項の文言を削除したいときは、削除したい文言に二重線を引きます。
二重線を引いた後、欄外に「○○行目○字削除」と書き、訂正印を押します。
例えば10文字削除したら、10文字削除と書きます。
文言を削除した上で別の文言に差し替えたい場合は、二重線を引いて空いてるスペースにその文言を書き、欄外に「○○行目○字削除 ○字加入」と書きます。
以下訂正例。
印鑑は契約当事者全員分押してください。
全員分印鑑を押さないと、印鑑を押してない人は訂正に合意してないと受け止められるからです。
条項全て削除したい場合の訂正方法
契約書の条項を全て訂正したい場合は、その条項前文に二重線を引き、欄外に「○条全文削除」と書き、当事者全員分の訂正印を押します。
以下訂正例。
修正液や修正テープは使わない
訂正した箇所を修正液や修正テープなどを使って消すのはやめた方がいいでしょう。
なぜなら、修正液などを使うと、修正前に何が書いてあったかわからなくなるからです。
これは契約管理上とても面倒です。
さらに、修正液などを使うと、具体的な訂正事項が判然としなくなるので、法的に訂正が認められない可能性もあります。
契約書の訂正に乗じた、改ざんを防ぐ方法
契約書の訂正に乗じて、契約書の内容を相手にとって都合のいいように改ざんされてしまうこともあります。
改ざんを防ぐ方法を解説します。
捨印は改ざんのリスク高し
捨印とは、契約書の欄外に捨印欄を設けておき、その捨印欄にあらかじめ押印しておくものです。
こうすることで、訂正事項が発生した場合、既に訂正の押印がされているので、原本を保管する側だけで訂正が可能になります。
一見とても便利に見える捨印ですが、こちらに不利なように条項を書き換えられてしまうリスクがあるので、原則おすすめできません。
よっぽど相手が信頼できる場合でない限り、捨印は利用しない方がいいでしょう。
数字はアラビア数字で
訂正したい文字が数字の場合、その数字はアラビア数字で書いた方がいいでしょう。
例えば漢数字で「一」と書くと、後から一本線を加えられて「二」と改ざんされる可能性があります。
なので、数字を訂正する場合はアラビア数字で。
おわりに
あまりにも訂正事項が多い場合は、それを全て訂正するよりも、一度その契約を合意解除した上で、新しく契約書を作り直し、再契約を結んだ方がいいでしょう。
訂正事項が多すぎると、お互いの認識に齟齬が生まれやすくなりますしね。
当事務所では契約書の作成を請け負っていますので、何か契約書関係でご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。