契約書の条項に、「○○を準用する」という記述をよく見かけます。
「準用」は一般的にはあまり使わない用語なので、本記事では「準用」の意味について解説します。
準用とは
準用とは、ある事項を、他の類似する事項に修正等を加えた上で当てはめることをいいます。
例えば民法を例にみてみましょう。
以下は民法第622条の条文。
民法第622条(使用貸借の規定の準用)
第597条第1項、第599条第1項及び第2項並びに第600条の規定は、賃貸借について準用する。
民法第601~622条は賃貸借を規定する条文ですが、この賃貸借に使用貸借の規定を準用するという内容です。
具体的には、使用貸借の期間を定めた時はその期間が経過すると使用貸借は終了するという規定(民法第597条1項)、借主が借用物に付属させたものがある時はそれを収去する義務(民法第599条1項)、契約の本旨に反する仕様により損害や費用が生じた時は、返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない規定(民法第600条)。
これらを全て賃貸借にも適用させることが準用。
準用のメリットは、同じような条文をわざわざ定める必要がなくなることです。
使用貸借と賃貸借は似た概念なので、いちいち使用貸借と賃貸借で別途ルールを定めるより、類似する箇所は準用した方がわかりやすいでしょう。
そのため、法律では度々「準用する」が使われています。
「準用」と「適用」の違い
準用と似た用語で「適用」があります。
適用とは、規則や法律をそのまま当てはめることをいいます。
この時点でわかったかと思いますが、準用は他の類似する事項に修正等を加えて適用することであり、そのまま当てはめる「適用」とは若干異なるのです。
これが準用と適用の違い。
契約実務では、この準用と適用はしっかり使い分けましょう。
おわりに
契約書では日常ではまず使わないような難解な法律用語がたくさん出てきます。
私が法律の勉強を始めた時に一番四苦八苦したのは、この難解な用語たちです。
対抗要件とか、善意の第三者とか、専らとか(私は専らを「せんら」と読んでた)、とにかく意味不明。
しかり、契約書を交わす上で用語の意味をしっかり理解してないと、予期せぬ不利な条項を見逃す可能性があるので、わからない用語は必ず確認するようにしましょう。