賃貸物件にて、「トイレが詰まった」、「ドアが開かなくなった」、などの設備の故障した際、それらを修繕する場合誰が費用負担するのでしょうか？

本記事ではこの疑問にお答えします。

賃貸物件の初期設備の故障は基本的には貸主（大家さん）が負担

結論、賃貸物件の初期設備が壊れてしまった場合は、貸主（大家さん）の負担で修繕することになります。
これは民法第606条に規定されている「賃貸人による修繕等」の条文に沿った原則です。

民法606条（賃貸人による修繕等）
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。

したがって、自分が借りてる家のトイレが詰まった、エアコンが故障した、水道が水漏れする等々のトラブルが発生した時は、まず管理会社に連絡してみましょう。

私のケースでいうと、私が借りてる部屋で、夏に入ったタイミングでエアコンを使おうとしたら冷房だけ使用することができなかったので、管理会社に修理をお願いしました。
そしたら、現在のエアコンはとても古かったため、新しいエアコンに入れ替えてもらいました。
もちろん、費用は全て大家さん持ち。私は一銭も出していません。

このように、賃貸物件の初期設備が故障した際には、原則貸主負担なのでご安心ください。

なお、借主の故意や過失が原因で初期設備が故障した場合は、それは借主が悪いので、費用負担は借主になります。
先ほど紹介した民法606条にその旨が規定されています。これは公平性の観点から妥当な結論でしょう。

消耗品の交換は借主負担

初期設備は、トイレ、風呂、水道、給湯器、ドア、などの設備のことを指します。
対して消耗品とは、電球、電池（例えばエアコンのリモコンの電池など）、蛍光灯など。

この消耗品は基本的に借主負担になることがほとんどです。
法律的には特に定めはないですが、電球の交換などは金額的にも安価ですし、慣習的に借主負担という原則が根付いています。

契約で貸主負担にすることもできますが、そうすると交換の度に貸主に費用請求をしなければいけないので面倒なのでおすすめしません。

残置物の故障も借主負担

残置物とは、前の入居者が置いていったものです。
例えばソファや冷蔵庫など。

これらの残地物が故障した際も、基本的には借主負担で修理しなければなりません。
なぜなら、残地物は別に貸主が提供しているものではないため、貸主に残地物の修繕を求めるのは酷だからです。

とはいえ、これも別に法律で定められたルールではなくあくまで慣習です。
なので、契約書で貸主負担にするよう定めることも可能です。

全ての費用を借主負担にすることもできるけど・・・

初期設備の修繕は貸主の義務ですが（民法606条）、民法606条はあくまで任意規定です。
なので契約書で、「設備の修理費用は全て借主の負担とする」といった条項を設けた場合、一応それは有効となります。

ですが、おそらくほとんどの賃貸借契約はこの民法606条を遵守した契約になってるかと思います。
その理由は、仮に全ての費用を借主に押し付けた場合、消費者契約法に反して無効になる可能性があるからです。

とにもかくにも、家を借りる時には、費用負担がどちらになるかは確認しておくといいでしょう。

勝手に修理業者を手配して直してもらったら費用は誰が負担するの？

初期設備が壊れた場合まず管理会社に相談ですが、相談せず直接自分で修理業者を手配してしまった場合、その費用は誰が負担するのか。

初期設備の修繕は貸主の義務とはいえ、借主が勝手に修理業者を手配してしまった場合、費用負担はどちらが持つことになるか、これは法的に微妙です。

一応法的には借主による修繕を認めています。

民法608条（賃借人による費用の償還請求）
賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。

ここでいう必要費というのが、物件の設備等の修繕費です。
なので、修理代金を貸主に請求することは可能です。

ですが、費用請求するには民法607条の要件を満たす必要があります。

民法第607条の2（賃借人による修繕）
賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
(1)賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
(2)急迫の事情があるとき。

貸主が対応してくれない場合や、急迫の事情（差し迫った理由）が要件。
どちらかの要件を満たさない限り、勝手に借主が修繕を行うのはリスキーです。

それに、そもそも勝手に修理業者を手配して、費用だけを貸主に請求するのは揉める原因になり得ます。
したがって、まずは管理会社に相談するのがベターです。

まとめ

原則的に賃貸物件の初期設備が故障した際には、貸主の費用で直すことになるというのが本記事の結論です。

とにかく、何かトラブルが発生したらまずは管理会社に相談するのが一番の最適解。
まあ、肝心の管理会社が信用できないなら話は別ですが・・・